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統一的な基準に対する連絡会議の要望について

平成26年4月30日付けで、総務省の「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」報告書が公表された。

我が国の公会計制度改革に先駆的に取り組んできた8団体で構成する新公会計制度普及促進連絡会議(以下、「連絡会議」という。)では、当該報告書で示された「統一的な基準」について、従来の総務省モデル(基準モデル、改訂モデル)と比較すると、複式簿記の導入や固定資産台帳の整備を前提とするなど、これまでの総務省の考え方から大きく踏み出し、連絡会議構成団体が導入している新公会計制度に、相当程度近づいたものと認識している。

しかし、行政コスト計算書に税収を計上していないことや、純資産変動計算書に固定資産等の変動という純資産の増減に影響を及ぼさない項目を記載していることなど、企業会計や国際公会計基準の取扱いとは異なり、住民等にも理解されにくい考え方が残っている。また、開始時に取得原価が不明な資産について、道路等の土地は備忘価額1円で計上する場合もあるなど、計上価額と実際の取得価額が掛け離れてしまうことが懸念される。

一方、現在、先行自治体が作成している財務諸表は、税収を行政コスト計算書に計上することで、収支のバランスが一見して明らかになるなど、マネジメントへの活用や住民等への説明責任の充実に大きく寄与しており、また、複数年度にわたり同一基準による財務諸表を作成してきたことによる経年比較など、この間、価値ある実績を蓄積してきている。

報告書では、「各地方公共団体がそれぞれの創意と工夫により、住民等への説明責任や行政経営に資する財務書類を作成することを妨げるものではない」としているが、仮に、今後この基準の取扱いを先行自治体にも一律に適用した場合、これまで各自治体において先駆的に取り組んできた創意や工夫が財務諸表に反映されなくなるだけでなく、できるだけ正確な財務諸表を作成するという、本来の趣旨からも乖離してしまう懸念がある。さらに、多大な実務上の手戻りや新たな経費負担が発生することにもなる。

よって、連絡会議は、総務省に対し、以下のとおり要望する。

  1. 平成27年1月に予定している、地方公共団体に対する統一的な基準による財務書類等作成の要請に当たっては、連絡会議構成団体等先行自治体が財務諸表を従前と同様に作成・公表することについて、これを妨げるものではないと改めて明示するなど、先行自治体の創意と工夫を制約することのないよう、十分に配慮すること。
  2. 特に、固定資産の評価については、先行自治体の先駆的な取組を尊重し、特定時期以前に取得した道路等の敷地についても、他の資産と同様、合理的かつ客観的な基準によって評価されたものであれば、当該評価額によることを許容すること。
    また、今後、より正確な財務諸表の作成を目指す、意欲ある自治体に対しても、先行自治体と同様の取扱いを許容するものとし、報告書が重視する自治体間の比較可能性の確保についても、可能な限り評価の正確性が担保されていることを前提とすること。

以 上

※ 今後の新地方公会計の推進に関する研究会の報告書は以下のリンク先をご参照ください
(総務省ホームページ内)。

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